[学内公開限定]電子の風でナノ物体を操る
概要
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高密度の電流が金属などの導体中を流れると、電子との衝突と電場の影響により導体を構成する原子・イオンが移動し、回路の断線や短絡を引き起こします。これは古くから知られた現象で、エレクロトマイグレーションと呼ばれています。LSIなどの故障原因となるため、問題視されてきました。一方、ナノ物体に高密度の電流が流れた際には、ナノ物体そのものの運動を引き起します。この現象はナノ物質輸送などに利用できるため、広く研究されてきました。しかし、これまでエレクトロマイグレーションの力の大きさに関しては理論的な研究に留まり、実験的には測定されませんでした。そのため、この現象を利用したナノ物質輸送も場当たり的なものに限られていたと言えるでしょう。ごく最近我々は、透過電子顕微鏡その場観察によりこれを決定する方法を編み出しました。さらにこの成果に基づき、ナノ物質運動・輸送をこれまでと比較してより精密に、計画的に制御できるようになりました。これを利用して、様々な基礎物理・ナノエンジニアリングの実験を自在にデザインできるようになったのは、我々にとって大きな収穫です。今年出版された論文の内容をご紹介します。 |
Tags
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令和6年度第8回サイエンスカフェ, 学内公開限定 |
作成日 |
2025-04-10 15:09:56 |
更新日 |
2025-04-10 16:10:34 |
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