結び目の流体物理学 -ケルビンが我々に遺したもの-
概要
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結び目とは一次元の閉じた紐でありながら、切ったり接続したりすることなしに、単純なループに変形できないもののことである。2つの結び目が同じかどうかを調べ、分類する手法は完成されておらず、数学の未解決な超難問として人類の前に立ちはだかっている。 結び目の研究は19世紀におけるケルビンの渦原子模型がその起源である。まだ原子の存在が確立されていない時代、ケルビンは原子の起源として、光を伝える媒質として信じられていたエーテル流体中の渦の結び目であると提唱した。渦原子模型の思想は結び目理論へと発展しただけでなく、流体力学に大きな貢献をもたらしている。我々はケルビンが遺した渦原子の思想の詳細を明らかにするべく、今は渦原子とともに存在が否定されたエーテルの代わりに、現実に存在する「スピン流体」を用いて渦原子を実現させる理論的手法を提唱した。講演ではその内容およびこの手法が数学における未解決問題にいかに貢献できるのかということを紹介したい。 |
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令和6年度第6回サイエンスカフェ |
作成日 |
2024-11-19 10:20:01 |
更新日 |
2024-11-19 13:20:22 |
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